夢の中で、俺はアンタを何度も殺した。

何度も…何度も…飽きることがないくらいに。

アンタを殺した瞬間、とてつもない喪失感に襲われた。



「甘、ね…」

目覚めると、体は汗でぐっしょり濡れていた。

夢の中で起きたことが蘇ると、体が小さく震えた。


いつもこんな具合だ。

アイツを殺す夢を見ると、恐くなる。

まるで、父上を失くしたときのように。

夢の中で、あいつを殺して喜ぶべきはずなのに、動かなくなった体を抱いて俺は泣く。

殺した右腕が酷く憎くなる。

矛盾してる。

わかってるんだ。


寝屋を飛び出し、アイツを探す。

見つけると、俺を見たアイツは、嬉しそうに笑う。


「よぉ!凌統!…どうした?」
元気に俺を呼ぶ姿を見て、俺は…
少しだけ、少しだけだけど…安堵する。


いつから俺は、アンタがいることがアタリマエになり、大切だと思えるようになったのだろう。




***********************************************************************************




いつもながらに短い。


「夢の中で、何度もあんたを殺す。
 何度も、何度も…足りないくらい。
 目覚めた朝、俺を呼ぶ元気なあんたを見て、
 少しだけど、安堵する俺」


というのが、ふいに浮かんで、それに肉付けをしたものです。